「デジタル生活ノート」は、千葉大学教育学部・磯邉聡准教授に監修いただいた心とからだの見守りツールです。
子どもたちの心や体の小さな変化を、先生や保護者、スクールカウンセラーなど “チーム学校” で見守ることを目的とした、児童生徒と教員をつなぐ新しいコミュニケーションツールです。
監修者からのメッセージ
「みまもりふぅーにゃん」は、子どもの体調や気持ちの変化などを把握することでタイムリーな子ども理解につながるだけでなく、以下に紹介する多くの特徴を有しています。これは単なる「生活記録ノートの電子版」という範疇を大きく超え、豊かな可能性を秘めたすぐれたツールといえるでしょう。
現在、教育現場では急速にICT化やデジタル化が進んでいます。政府が提唱する「Society 5.0」や「ギガスクール構想」に基づいて、一人一台タブレットが配付されるなど、子どもを取り巻く環境は大きく変化しつつあります。このような中で、日々楽しみながらタブレットや電子端末に触れることで、これらのICT機器への理解や習熟が深まることが期待されます。
さらに、コロナ禍において子どもたちは毎日の健康管理が求められるようになりました。その時に、「みまもりふぅーにゃん」は子どもたち一人一人が自らの体調を確認するという自己管理能力の獲得に大きく役立ちます。
また、感染防止の観点からソーシャルディスタンスを取ることが推奨されていますが、この「みまもりふぅーにゃん」は、電子機器を活用したやりとりですので、感染リスクはほぼゼロです。このように、ソーシャルディスタンスを取りつつも、子どもと教師がダイレクトにコミュニケーションできるというメリットを有しています。
これまでも紙ベースの「生活記録ノート」は存在していましたが、「みまもりふぅーにゃん」は何といっても子どもたちがすでに慣れ親しんでいるSNS感覚の手軽さと楽しさがあり、そのことによって続けやすいという特徴を持っています。
また、日記をつけ今の自分にぴったりくるスタンプを探すという行為は、思春期を迎えつつある子どもたちが自らを内省し表現するよいきっかけともなります。なお、スタンプは実に豊富で、多彩な感情表現が可能な点も見逃せません。
さらに、教師からの「連絡・お知らせ」や「教科連絡」をいつでも、そしてどこでも確認できる点も重要です。教育現場には集中を維持することや書き写すこと、さらには教師の話を聞きながら板書を取るといったマルチタスクが苦手な子どもなど、さまざまな困難さを抱えた子どもたちがいます。その時に、いつでも自分のペースやタイミングで確認可能な「連絡・お知らせ」や「教科連絡」は、当日欠席した子どもだけでなく、このような子どもたちに対する配慮も兼ね備えた嬉しい機能といえるでしょう。
紙ベースの「生活記録ノート」はアナログならではのよさがありますが、児童生徒が提出しないと返信メッセージを書くことができないというデメリットもありました。その点で「みまもりふぅーにゃん」は、欠席や記入忘れなどの児童生徒に対しても「○○さん。元気かな?」といつでもあたたかいメッセージを送ることができます。
また、不登校など長期にわたり欠席している子どもとも双方向のやりとりが可能です。不登校の子どもたちへの「いつでも先生は見守っているよ」という担任からのメッセージはどれだけ励みになることでしょうか。さらに長期休業といった登校日以外の日でも子どもにメッセージを送ることができます。このように、いつでもそしてどんな状況の子どもであってもつながりを持つことができるというのは非常に大きな特徴といえるでしょう。
さらに、子どもが登校している間に、「生活記録ノート」を読み、コメントを記入するという時間的制約もなくなりますので、教師にとっては余裕が生まれ働き方改革の一助となることも期待できます。
このように「みまもりふぅーにゃん」はさまざまな今日的テーマや要求にマッチしたコミュニケーションツールであり、今後大いに活用されることを期待したいと思います。
- 所属名
- 千葉大学 教育学部
- お名前
- 磯邉 聡 准教授(臨床心理士)
- 研究者情報
- https://researchmap.jp/s-isobe(外部サイト)